神無月 2019

此の夏1週間ばかり避暑地暮らしをしていた、と言いたいところだけど、実は某病院のベッドの上で点滴につながれてしばし養生をしていた。
5階の大きな窓から遠くに近くに見える幾重にも連なる山々を、ぼんやり眺めていると何れは何処かに呑み込まれてしまう身なら、願わくばその裾野にでもと、いったん胸の内の治める。
そんな折り、切り花の残りも共に土に還るのだと思うと、切って、活けて、終う花々を決して無駄に処分していることではないと実感が湧いてくる。
小さな蓮の実を発芽させて数十年、花にはいまだお目にかかれていないものの、葉もまた年々小さくなるなかに在って、切って活けてみたくなる衝動に変わりはなく、枯れたら枯れた成りの姿もまた捨てがたいのが、蓮の所以と集まった小さな秋を添えてみる。

– 花材-
枯蓮 かやつり草 うどの花 洋種山ごぼう 吾亦紅 金水引 たで つりがねにんじん しらやま菊 水引草 秋明菊

– 器 –
安井未星(空木・うつろぎ)その他 硝子管 碍子 硝子瓶 

枯蓮 かやつり草 うどの花 洋種山ごぼう

枯蓮 かやつり草 うどの花 洋種山ごぼう

枯蓮 かやつり草 うどの花 洋種山ごぼう