• O33-Ou sansan「アンビギュイティの世界を辿る」

    私は腸という素材を用いて、アンビギュイティといったことテーマにして、テキスタイルや、インスタレーションや、立体物などを制作している。中国国籍でモンゴル人という「二重性」をもつ私は、子供の頃から漢文化とモンゴル文化のせめぎ合いの中で育った。従って、私自身はモンゴル人であり、中国人であるというアイデンティティの問題に直面しながら、アンビギュイティ的な外と内、自然と不自然、そして生と死など両義性および多義性の間の曖昧な境に大いに興味を持つようになった。
    作品を制作することは、自己への探究であると思う。そのため、私に深い影響を与えた五畜(牛、羊、馬、山羊、ラクダ)から作品制作に利用できる素材を選択しようと考えた。特に、腸素材を利用することである。私の作品に対する制作意欲は、常に「曖昧な境」を探したいという思いから発生している。内と外を意識するのはなぜだろう。その境とはなんだろう。この疑問に対して内と外を対立させて考えるのではなく、対比を繰り返しながら作り上げられる曖昧なコンセプトだと思う。従って、自分も意識と無意識を繰り返しながら制作していきたい。

    • 1993年生まれ 内モンゴル出身、金沢在住
      2015年 内モンゴル大学芸術学院 デザイン科 ファッションデザイン専攻 卒業
      2018年来日
      2020年 金沢美術工芸大学 工芸専攻 染織コース 研究生
      2023年 金沢美術工芸大学大学院 美術工芸研究科 工芸専攻染織コース 卒業
      2023年 KANABIクリエイティブ賞2022 卒業・修了制作部門 招聘審査員特別賞 受賞

      主な展示歴
      2022年「染展」(BE=Lab&Galery/大阪)
      2022年「つながる糸 ひらがる布―4芸大染織専攻作品展」(堀川御池ギャラリー/京都)
      2022年「輪廻―033・YULING LIN二人展」(アートベース石引/金沢)
      2022年「工芸2022」(雪梁舎美術館/新潟)
      2023年「金沢美術工芸大学 卒業・修了制作展」(金沢21世紀美術館市民ギャラリー/金沢)