美しく善いをめぐる旅 羊は太古から人間と共に生活をしてきた生き物です。 衣食住の全てを賄うことができ、世界中で文字や宗教などの文化にも深く関わってきました。 コロナ媧であった2021~2022年に、私はワークショップを開催し、様々な人に羊のオブジェを作ってもらいました。 オブジェの素材は剪定枝など廃棄される予定だった枝と、地元の牧場にいる羊の毛です。 羊毛は身の回りの草木で染めました。好きな色を選んでもらい、自分の心に存在する"美しく善い"羊を作ってもらいました。 美や善などの漢字の中にも羊は居ます。同じように誰の心の中にも自分だけの羊は居るようでした。 それらの羊を集め、群れをなし、私は私の思う"美しく善い"場所を旅する事にしました。 運河から漁船に乗り海へ出たり。 木彫のまちを案内してもらったり。 ぶどう園のビニールハウス、まちの雑貨屋さんやカフェ、散居村の屋敷におじゃましたり。 羊たちと一緒ならいつもの風景がより美しくみえました。そして、出会った人の善意から予期せぬ出会いに繋がっていきました。偶然折り重なったいくつもの出会いによって、羊たちの旅路は拡がり続けることができました。 羊の旅だけでなく私のアートプロジェクトは出会いの予感をつくる試みです。それは、人や場所と出会いたいという欲求だけでなく、本来の自分と出会ってしまうという意味もあります。 6月に「旅鳥たちの芸術祭」という小さな芸術祭を開催します。廃校になった木造校舎に地元のアーティストの作品を展示し、小さなお子さま連れの方など、普段美術館やギャラリーに行きづらさを感じている方にも気軽に来ていただきたいなと思います。アートはみんなのものだから。 アートでしか行き着けない場所があり、アートでしか出会うことのない人がいて、アートでしか気づけない自分の心の側面があります。 それらの全てとわかりあうことはできなくとも、一緒にすごす事でうまれる拡がりは、それぞれの旅路を拡げるきっかけになるのではないかと思います。 山と草木 広島県出身富山県在住 2021年より羊の旅プロジェクト主宰 2024年6月1日(土)・2日(日) 富山市旧小羽小学校「旅鳥たちの芸術祭」キュレーター SHARE TO FACEBOOK / TWITTER / PINTEREST