• 町 明日香「世界をもう一周する」

    私たちは、さまざまなものを見る中で、具体物から「これは、耳かき=耳を掃除するもの」というふうに意味を受け取り、認識して対象を操作することで活動しています。そのようにあらゆるものやことに意味がついてまわります。そんな意味があふれるこの世界に圧迫感を感じることもあるのではないでしょうか?すべてが論理的に進行していくと、息をする隙間もなく感じることがあるように思えます。もし、意味の示すものに従って操作していくのならば、意味のレールに導かれるままに生きているとさえに思えてくるのです。それでは誰が主体か分からなくなってきます。
    抽象絵画の思考方法は、意味を一度引っぺがして、そのものをそのままに見る思考の冒険だと思います。既存の見方を一旦停止し、私たちが日頃、気にとめることがない、色、形、質だけに知覚を集中して味わうように見るのです。そうすることで無限に開けた地平が立ち現れるように思います。それが世界を新たに認識する方法の手がかりだと思います。そして知覚で感じ取ることで私たちは主体を取り戻すのです。

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      略歴
      2001年 グループ展「欣求―欠伸の咆哮展」デザインフェスタ・ギャラリー 
      2006年 多摩美術大学美術学部絵画学科油画専攻 卒業
      2008年 多摩美術大学大学院美術研究科博士前期課程絵画専攻 修了
      グループ展「±point展」ガレリア・セルテ 
      グループ展「第5回REUNITED展」横浜市民ギャラリーあざみ野 
      2009年 グループ展「第6回REUNITED展」横浜市民ギャラリーあざみ野 
      2010年 グループ展「第7回 REUNITED展」府中市美術館1F市民ギャラリー 
      2011年 グループ展「第8回 REUNITED展」府中市美術館1F市民ギャラリー 
      2012年 グループ展「第9回 REUNITED展」府中市美術館1F市民ギャラリー 
      2013年 グループ展「第10回 REUNITED展」府中市美術館1F市民ギャラリー 
      2014年 グループ展「REUNITEDから―油絵の継承と発展―」画廊るたん 
      2015年 グループ展「お家の芸術祭TOYAMA」富山市民プラザ・アートギャラリー 
      2018年 二人展「シュンメテン」画廊るたん 東京
      グループ展「穂上アート2018 4つの視点」穂上画廊 富山
      グループ展「サポート展の作家たち」画廊るたん 東京
      2019年 個展「港町の古書店にて」古本いるふ 
      グループ展「つつみ―みえるとみえない、作品展」富山市民プラザ・アートギャラリー
      2020年 個展「色と形のバロック」画廊るたん
      2021年 グループ展「花のの -Other Fields-」富山市民プラザ・アートギャラリー