処暑・天地始粛
設計には「ディテール」という言葉があります。
「細部」や「詳細」という表現もありますが、少し違うように思います。
「ディテールを考える」「ディテールがない」と言うことがあります。
ディテールには建築家の個性や力量が現れるような気がしています。
私が考えるディテールとは、
細かな部位を設計して綺麗に仕上げる(納まる)だけでなく、
その部位が持つ本来の機能に加えて、別な機能や意味が加わることだと思います。
たとえば、美しさによって感情を揺さぶるようなものもその一つです。
「美は細部に宿る」と言われるように、
ディテールによって、建築全体の質(Quality)が向上します。
実際は、ディテールを作り上げるのは私ではなく、
現場の職人さん達です。
職人さんたちと丁寧に対話をすることで、良いディテールは生まれるのです。
奏楽棟(東京都)
設計:木下治仁建築設計事務所
大工:高畠弘史
撮影:米谷 享