幸せを感じた瞬間

穀雨・葭始生

2025年の冬、友人の家の庭づくりを手伝った。

友人から家づくりの相談を受けて10年、実際に関わるようになって8年になる。最初は「自分で家を作りたい」という一言から始まった。いろんな検討を重ねているうちに、ある古民家に出会い、工務店と家族と一緒に改修する道を選んだ。

作業を終え、日が暮れる前に道具を片付け、焚き火を囲みながら1日の作業を振り返っていた日没前の一瞬、美しい光景に気がついた。ダイニングで一人勉強をする子どもの姿を見て、この家の設計に携わることができ幸せであった。

友人の家は街並み保存地区に立つ一軒の古民家である。外観は建築当時の姿に近づけることを目指した。内部は古民家の風合いを残しつつ、現代の暮らしに対応できるように計画している。



出水麓の家(鹿児島県出水市)
設計:木下治仁建築設計事務所
施工:相塲工務店