寒露・菊花開
雨の似合う家を設計することは、美しい家を作る作法の一つです。
日本という「地域」で家を建てるとき、雨のことを考えずには設計は出来ません。
建物は雨に濡れないように、屋根という傘を広げます。
それでも建物の足下は濡れてしまいますので、濡れた時にこそ美しく見える仕上も大切です。
先日、境界の塀と通路の間に20センチ程の隙間を作って、フッキソウを植えてもらいました。
訪ねた日は雨が降っていたので、土間の石の色が綺麗に出ていましたし、フッキソウの葉も緑が一層深くなって生き生きしていました。
建物の足下が、普段はおさえていた色が雨が降ったばかりに、一気に美しく彩っていました。
ところで、フッキソウは木陰や北側など日陰でも育つ、常緑の草花です。
一年中濃い葉が茂り、繁殖していくことから、繁栄を思わせる「富貴草」という縁起の良い名前がつけられています。