生命

山の風景から

山の風景から

7月、四季を通じて通っている京都北部の皆子山に突き上げるツボクリ谷を歩いてきました。以前は一般コースだったこのルート。10数年前に大雨や台風により荒れ果て、釣り人以外は訪れる人も少なくなっているようです。沢沿いに付けられた橋や擁壁などの人工物は崩壊した無惨な姿を見せていますが、自然林は年月をかけて徐々に復活しているようです。美しい渓谷は、本来持つ豊かな山の自然治癒力を物語っていました。

山の風景から

このルートで大きな目印になっているトチノキの大木。山の中でトチノキの高木は良く見ますが、沢の流れの中でこれほどまでに堂々とそびえるのを見るのは初めてです。

山の風景から

樹齢百年以上は優にあろうかと思われる古木表面のあちこちから、若々しい新芽が生まれています。足元には季節外れのトチノミもたくさん落ちています。説明の要らない生命の根源を見るようで、しばらく感動の時間を過ごします。こんな情景に巡り合えるのが山歩きのだいご味です。

山の風景から

沢の最上部である源頭はイワヒメワラビに覆われ、緑のカーペットを敷いたような風景です。かつてはクマザサだったようですが、鹿の食害で植生が変化しています。変わるものと変わらないもの、生きるものがつくる風景はさまざまなことを教えてくれます。