温熱環境シミュレーション

只今、設計中の住宅の温熱環境シミュレーションのようすです。基本設計時に構造、温熱環境のチェックを行うようにしています。基本プランができた段階で平面、高さ、屋根形状、構造架構(柱・梁の骨組み)の情報を入力します。経験で進めた基本プランのチェックを行い、より適切な方法がないかを検討します。構造チェックと同時に温熱環境もチェックします。

温熱環境シミュレーション

四季を通して、周辺環境も含めた日照の具合。各時刻、どのように日照があるのかを確認。

日照時間シミュレーション

窓から室内への光の入り方もチェック。この計画の場合は吹抜けを通して2階窓から1階床に光りが届く様子が判ります。冬の暖かい日射は取り入れて、夏の厳しい日差しは遮ることができているかも確認します。

室温

また、床、壁、天井(屋根)、窓の断熱などの仕様を仮定します。想定される家族構成や冷暖房器具の使用時刻を入力すると、1年を通じての室温や室内に取り込まれる日射エネルギーを算定してくれます。上グラフは計画地の2010年冬のある2日間のようすを示しています。折れ線水色は外気温、紫色は室温。棒グラフのオレンジ色は室内に入る日射エネルギー、赤色は必要な暖房エネルギー、地の黄色は暖房設定時刻を示しています。夜、エアコン停止から徐々に室温が下がり、明け方に何℃まで下がるかが予想できます。


左図はリビング吹抜けの断面図。日照の入りぐあいや吹抜け部分も含めた各部表面温度を示します。右図は建物全体の室内各部の表面温度。断熱仕様を変えた場合の比較ができますので、どの部分の仕様を上げるとどこが良くなるのかが判ります。

温熱環境は各地域の気候はもちろん、計画する建築の形状、周辺環境によって大きく条件が異なります。特に温暖地の夏の暑さの種類は各地に違いがありますが、各地の気象情報をていねいにひも解き、通風の採り入れ方など設計に反映することも重要です。

シミュレーションはあくまで予想です。いろいろな手法、新しい知見を用いて、今の時代に求められるより良い住まいを考えたいと思います。