小松の家/大阪市

施工:山本博工務店

前回、ご紹介しましたOMX全館空調を採用した「小松の家」の続きです。

小松の家/大阪市

こちらは1階玄関。日中、窓先に植えたハクサンボクの影が障子に映り、時刻の移り変わりを教えてくれます。左手、天井までの建具は防寒のための引き戸です。全館空調の場合、家全体を温熱的に1室空間として扱います。玄関引戸を開閉する際、外部から室内に気流が流れ込みますが、この建具がそれを防いでくれるのをあらためて実感しました。

全館空調の住宅は、要所に暖気と冷気を送るためのダクト計画が重要となります。一般的には天井裏にダクトを横引きする結果、建物の高さが大きくなりがちです。「小松の家」では要所に縦ダクトを設けて、横引は2階の天井裏にまとめています。上右写真のように、1階天井は2階床を現しにすることで、階高(1階床から2階床までの高さ)を抑えることができました。

小松の家/大阪市

南側は人通りの多い細い道路。このような周密な住宅地では、建物と道路との距離を確保することが難しくなります。こちらでは、バルコニー形状を変化させて4mほどのヤマボウシを植え、木フェンス足元に地被類を植栽しました。充分な日射採り入れを行いながら、プライバシーも確保し、まち並みにも配慮する。
道行く人と建物との良い関係は、先人がつくった町家などにそのヒントがあるように思います。