神戸市六甲山
梅雨明け前、しっとり小雨に煙る六甲山を訪れました。ハイキング道の頭上にはノリウツギが純白の美しい花を見せてくれます。アジサイ属の中では最も遅くに開花するようです。
上り詰めると六甲最高峰。そのすぐ下、ドライブウェイが横切る一軒茶屋には、以前ご紹介したトイレが4月から正式利用されています。ハイカーだけでなく、ヒルクライムを楽しむ自転車人もたくさん集まります。
一見、変わった形に見えるトイレは、いくつかの木製パネル(CLT)が折れて組み合わされた屋根を、細い鉄骨の柱が支える構造です。傾斜のついたトイレの木製壁が水平に折れて長いベンチになり、その上を大きな軒先が覆って半屋外の休憩スペースをつくっています。
天候のすぐれないこの日、建物本体が風を遮り、ベンチで寛ぐ人を守っているのが判ります。またベンチに座ると目の前の美しい樹木風景がCLTの軒先で切り取られ、十分な軒下空間と相まって、豊かな空間をつくっていました。
木質材料の積極的な利用が急速に叫ばれる中、このようなしっかりとした設計のものが着実に実現していくことを望みます。