湖北三国山

湖北三国山

「三国山」は良くある山名ですが、こちらは近江、若狭、越前の三国の境界点に位置する三国山です。標高は876mと低いのですが、日本海に近いため豪雪地帯でもあります。古くから京、近江と若狭を結ぶ街道がいくつかありましたが、近年、登山道として再整備され、由緒ある峠を訪ねることができるようになりました。

 

四季を通じて素晴らしい風景を楽しむことができますが、特徴的なのは圧倒的なブナ美林です。大木、変木、さまざまな形で自然環境に対応しています。

ブナは古くから漆器の椀や皿に用いられ、この地方にも木地師の住む集落もあったようです。変色、腐食、狂いやすいといわれ建築材料としては需要が少なく、価値の低い樹木とみられたようです。

湖北三国山

こちらは三国山から福井県側に見える庄部谷山。ブナ美林で知られた山ですが、稜線をよく見ると、積雪期のこの時期、落葉したブナの高木が延々と連なっているのが判ります。そして中央少し右に観測用の細いポールが設置されているのが見えます。この稜線に間もなく、風力発電の風車が建設予定とのこと。強い風が吹く地域であることに加え、すぐ近くには原発からの送電線網があることも開発適地の理由であると聞きます。

かつては薪や炭を生産することで成り立っていた山村集落が、石油エネルギーの時代に変わって廃村となる。自然林は全面伐採され、スギ、ヒノキの植林に。そして自然エネルギーの時代には風車建設。総合的、長期的な見識をもった開発の在り方を考えさせられます。