学習と本能

鳥の形をした凧を揚げていたらカラスが近寄ってきた。

初めはすこし離れたところを回っていた1羽のカラス。カーッ、カーッと叫びながらしだいに近づいてきて最後は身体ごとガツン!。バタバタしながら2~3回くり返し、あきらめたのか敵ではないと悟ったのか、スーッと離れていった。
木のてっぺんで落ちついてからも、相変わらずカラスはカーカーやっている。
ここから新たな展開が・・・
周辺に1羽、また1羽とカラスが増えてきた。ヒッチコックの「鳥」の光景とそっくりだ!。すこしコワイ。遠くの家の屋根や電柱の上など、もう10羽ぐらいになっただろうか。しかも、皆じっとこちらを見ている。
コワイながらも凧を操縦していると、またやってきた。こんどは複数のカラスが凧の周りを飛び交い、しばらくすると体当たりもせずに離れていった。
そして・・1羽、また1羽とカラスの姿が消えてゆく。
緊張がとけて吾にかえれば・・・カラスは消えて空には1羽の凧のみ。

考えてみれば、初めの1羽は子ガラスに違いない。巣立ったばかりのカラスに、本物の鳥と鳥の形をした凧との区別はつかないだろう。人間の赤ん坊だって、はじめて見るオモチャの蛇と本物の蛇の区別がつくはずもない。
ヒトもカラスも、体験とともに知識が積み重ねられて大人になってゆくのだが・・・

初めて宙を飛ぶときはだれも教えてくれないのに・・???

カラス