文化を受け継ぐ覚悟

雨水・土脉潤起

鹿児島県出水市の麓地区は、昨年、「薩摩の武士が生きた町」として日本遺産に登録され、平成七年には重要伝統的建造物群保存地区に指定されています。




この麓地区は関ヶ原の合戦の後、薩摩と肥後の国境にある町として約30年かけて整備されたと言われています。玉石積みの石垣と生け垣が特徴で、その玉石は近くを流れる川から運び込まれました。




今、私が取り組んでいるのは、武家屋敷の造りを受け継ぐ建物をただ保存するのではなく、現代の暮らしに合わせた生きた建物に改修する計画。街並みを維持するために、外観の改修には許可が必要なため、おかげで良好な街並みが維持されています。先日、市・県・国の三者による補助事業として、市役所の検査を受けて、無事、今年度の工事が終わりました。(工事の都合上、土壁の部分が来年度に続きます。)




この建物に訪ねてから足掛け四年が経ちましたが、私はこの機会に巡り合えたことが有難く思います。文化を受け継ぐ意味、難しさ、そして覚悟を、この計画に関わった皆から学ぶことが出来ました。この経験が、今後の仕事に幅と奥行きを与え、設計という仕事を続けていく楽しみにつながっていくと感じています。

これから内装工事に入り、完成は今年の夏頃を予定しています。

これから内装工事に入り、完成は今年の夏頃を予定しています。

施工:相塲工務店(鹿児島市)
設計:木下治仁建築設計事務所