ホテル(大阪新歌舞伎座跡地)

大阪市

ホテル(大阪新歌舞伎座跡地)

大阪難波駅のすぐ近く、御堂筋に面して、新しくホテルが開業しました。かつてこの敷地にあった大阪新歌舞伎座は村野藤吾の設計です。建物正面に、うねうねと連続した唐破風を4層にも重ね、かなり特徴的な建物として1958年に開館しています。老朽化のため、2015年に取り壊され、その後に外壁デザインを踏襲した形でホテルが建設され、昨年の12月にオープンしました。設計は隈研吾と鹿島建設です。

道路後退のため柱間の間隔が若干縮まっていたり、唐破風本体のコンクリートが鉄板になるなど素材が変わっているようですが、ほぼ元のデザインが復元されています。

ホテル(大阪新歌舞伎座跡地)

低層部は元のデザインを復元し、高層部は新しい用途に合わせたルーバーデザイン。低層部の低さを新しい建物用途にあてはめるのには、設計上もなかなか苦労があったようです。一般的に近代建築の外壁保存は、かつての銀行や官庁などクラシックな意匠のものを対象にすること多いので、初めて見た時は戸惑いを感じました。ただし、よく考えてみるとかつての建物も築60年で文化財としての要件を備えた建築です。復元の方法など議論すべきことはありそうですが、これも外壁保存のひとつの実例になりそうです。それにしても、あらためて村野デザインの長寿命を感じます。