古民家と竹林

チルチンびと研修会で不思議な現象に出会った。
再生された古民家の見学会。担当したベテランの現場監督さんが「古民家は全て時計回りにゆがんでいる」との解説。したがって古民家再生の最初の仕事は「長年のねじれを元にもどすこと」だそうだ。
100年も200年も掛かってじわじわと変形してきたものを、一気に正そうとするのはただごとではない。正される方だって、ギシギシと整体されながらその痛みに耐えるのだろう。痛々しい感じがしないでもない。

「古民家は時計回りにねじれている」・・なぜ?、なぜ時計回り??
監督さんいわく「東の朝日から西の夕日まで、太陽に照らされつづけて材木が乾燥するから、家は時計回りにねじれる」・・・う~ん・・どうも納得がいかない。
ねじれに耐えつつも、刺激に対して徐々になじんでゆく。そんなところなのだろう。
相撲やレスリングで逆手をとられると、大きな体格なのにもんどり打ってひっくり返る。短時間ではそういうことも起こりうるのだろうが、長年耐えづけてきた建物が、耐えきれなくなって基礎もろともいっぺんに回転してしまうようなことは、ありようはずもない。
しかし、古民家の場合は100年200年単位だから、微妙に、わずかずつ、目に見えない遅さで全体が回転しているのではないかと疑ってしまう。

古民家がねじれるのは事実として、竹林が移動するという話はどうなんだろう。
竹林は目に見えない遅さで移動するというのをなにかの機会に知った。地下茎でつながっている竹林が、じわじわと縄張りを拡げている。それがじつは四方八方ではなく、方向性をもっているというのである。一体全体どこへ向かっているのだろう。
まず思いつくのは古民家のねじれの解説と同様、太陽の影響。地上で竹の葉が朝日を浴びるたびに地下茎に指令を出す。それを受け、地下茎は新たな竹の子を朝日の当たる方向に向けて地上に送り出す。それを毎年くり返す。つまり東へ東へ延びてゆく。
つぎに思いつくのは地球の自転の影響だ。地球表面のプレートだって自転に追いつかなくて(ボクの感覚では)動いているくらいだから、表土に載った竹林がすこしずつズレてゆくことに何の不思議もない。チクリン・テクニクス理論である。ボクとしてはこの説を主張したい。
その次は重力の影響だ。斜面を覆う竹林は、表土とともにじわじわと低い方へ流れてゆく。集中豪雨で地盤がゆるんだときには一気に移動する。(地面が水平だったら動かない・・?)
他に竹林が移動する理由としては本人の意思ぐらいしか思いつかないが、あまりにも現実離れしているからこれ以上考えるのはやめておく。

というわけで、南向きに建てられる家は100年、200年経つうちに地球の自転に抗いきれず、日照による湿気や乾燥で伸び縮みしながら、次第しだいにねじれてゆく。これがボクの古民家回転説です。
地球の自転による回転説に従うとすれば、「大仏」さんもデンと構えているようでいて、じつは回転している?
上野の西郷さんの銅像だってそうかもしれない。

さて、西郷さんは何向きでしょう?・・夏向きだそうです。

竹やぶ

大仏