静岡県浜松市、緑に囲まれた丘の上に建つ、浜松市秋野不矩美術館。
設計は自然素材を独自な手法で表現される建築家・藤森照信氏。
屋根は諏訪産の鉄平石を葺き、外壁は藁を混入した着色モルタルを荒々しく仕上げています。
また地元天竜産の杉板で覆っているところは黒く変色しており、風格すら感じます。
外壁からは丸太をくりぬいた木製の雨どいが大きく突き出され、地面に流れ落ちる雨が外壁に伝わらないような配慮がなされています。
内部の展示室は、美術館では珍しく履物を脱いで入ります。
「画伯の絵の汚れのなさと土足は合わない」という藤森氏の考えからとのこと。
床板の感触を肌で感じ、作品との距離をより身近に感じることができ、落ち着いて鑑賞することができます。
美術館には、高台から外部を見下ろせる開放的なテラスが併設されています。
風を感じ、緑を堪能できる風情はとても日本的なのですが、どこか異国にいるような印象を受けます。
秋野不矩が50歳を過ぎてからの、インドやアフガニスタンの作風に共鳴されたように感じました。