築山賛歌

長崎の「出島」は当初”築島”と呼ばれていたそうだ。外国貿易の場を、陸から離れたところに埋めたてで築いて隔離し、橋でゆききした。大阪湾の関西空港も、橋のみで陸とつながるところは”築島”であることにちがいはない。
ちなみに関空の計画段階では浮体構造案もあった。不況にあえぐ造船業界と、そうはならじと抵抗した土建業界との戦いの結果が現在の関空だが、メガフロートの”浮島”のほうが夢があってよかったと僕はおもう。
ちなみのちなみでいえば、問題になっている辺野古の埋めたても、アメリカで作ったメガフロートをたくさん曳いてきて設置する案があったようだ。が、それでは日本の仕事がなくなるから立ち消えになったのかもしれない。

東京の築地は江戸時代の埋めたてだそうだ。市場の移転問題も、浮島の上に新市場を建設してから築地に横付けすれば簡単だった・・・僕が都知事だったらそうしたのに・・土地も増えるし・・残念。
築地のそばの月島も元は”築島”で、お月見にいいところだったから月島になったそうだ。
”浮島”とか”月島”とか”りゅうぐう”とか・・たのしい方がいいと思う。

日本庭園には「築山」がつきものだ。埋めたてれば「築地」だが、土を盛れば築山になるというのも道理ではある。
日本庭園には池もつきものだから、庭に池を掘ったらその土で結果的に築山ができたと考えても不思議ではない。
竜安寺の石庭は、池を掘らなかったから築山がつくれず、仕方なく石を置いて築山に見立てた。これがヘソ曲がりの僕の見解だが、ヘソの曲がりすぎのようにも思わないでもない。

岐阜県に[evergreen] の河合憲弘さんご夫妻がつくった築山がある。道路から一段上がった土地にカーポートをつくろうと、土を退けて庭に盛ったら築山になったという代物らしい。とうぜん池はない。その代わりなのか、築山の中腹から水が湧き出ている。井戸水を引いて泉と流れを築山に仕掛けてある。発想もいいがデザインも good ! だ。
屋根も緑で築山と一体感があるが、どうせなら屋根に池を掘れば屋根にも築山ができた?(そんなばかな!)
通り庭風の家を抜けると小さな田んぼが・・その先になんと築島がある。ずいぶんと苦労して遊んでいるところがいい。
そこから月が昇り、田んぼの水面に映り込む。たったひとつの「田ごとの月」、ぜいたくこのうえない。この築島は岐阜の「月島」か。

築山をつくりたくなった。基礎工事の残土を庭に盛れば即築山だし、うまくすれば「月山」にもなれるかもしれない。
井戸を掘って月山から湧き出させよう。いざとなればこの水で生き延びられる。給水車の世話にならなくて済む。

「新築の際に湧き水の出る月山を」なんてキャンペーンはどうだろう。ぜひ自治体の補助金を!。記念品として月見団子もつけて欲しい!!
 

 
写真:[evergreen ]のホームページより