床座考

URAでは、風土社主催「初心者のための設計塾」を、現在2か所にて開催しています。
塾生は工務店に在籍していますが、間取りなどを考えることは初めてという方々です。
提出されたプレゼンをURAのメンバーで考察するのですが、テレビの正面にソファを置くというリビングプランが大半を占めています。
リビングの大きさを表現するのに、ソファを配置することは判りやすい手段の一つですが、それではソファがないリビングとは。

床座考

昔ながらに円い卓袱台を中心に、車座に座る現代の茶の間。
方向性がなく、座る場所も決まっていない。
しかし、何とはなしに自分の落ち着くところを発見し、いつの間にか所定の場所ができてしまう。
床に座るという行為は、とても不思議です。
何より日本人なら落ち着く、安心する、寛げるという気持ちを理解できることでしょう。靴を脱ぐという文化がもたらした、大きな功績の一つと言えると思います。

床座考

それでは床座のリビングを計画する時に気を付けることは。
それはダイニングテーブルとの関係にあると考えます。
椅子に座ったときの視線と床に座ったときの視線では、高さに差ができてしまいます。

その違和感を気にさせないような手法が必要です。
例えば、間に家具を配置する、床座の高さを変化させる、斜めや横に配置することにより視線をずらす、などなど。
少し傷つきやすいけど触り心地が優しい杉などの床材を使う場合、ぜひ床座のリビングも一考してみたらどうでしょうか。

撮影 垂見孔士