黒のタートルに黒の細いパンツ、そして黒縁のメガネ。
私がセツ.モードセミナーに入学して初めて見た先生。
「うわあ、カッコイイ!」あまりのカッコ良さにちょっと近寄りがたい感じだった。
ある日の午後、セツの友人と新宿を歩いていた。向こうから真っ直ぐな姿勢で歩いてくる人。セツ先生だ。
「なんだお前たち、こんなところで不良しているのか?ちょっと疲れちゃったからお茶飲まないか?」
場所は新宿2丁目、「追分だんご」の前。
「ぜんざい3つ!」
真っ白な白玉の入ったそれを、当然のように、そして幸せそうに食べている先生を見て、スタイリッシュな男性とぜんざい。
この全く似合わない組み合わせに、当時の私は目を丸くしながら白玉を飲み込んだ。
「アンカフェ、スイルブプレ!」
初めてのセツ.ヨーロッパ旅行。
「私も、早くあんな風にカッコ良く注文したい」と思ったものだ。
運ばれてきたコーヒーに、先生はスプーンでお砂糖をたっぷり何杯も入れた。
そしてそれをゆっくり静かにかき回して口にする。
次に飲み終わった後、底に沈んでいるお砂糖をスプーンですくうのだ。
「これが美味しいんだよ、おしるこみたい!お前たちもやってごらん!」
私は、以前「追分だんご」でのあの先生の幸せそうな顔を、ふと思い出した。
私は、今もカフェに入ってエスプレッソを注文する。そしてカップにお砂糖を入れる時、なぜかここで必ずあのパリのカフェでの先生を思い出す。
でも、私はお砂糖をしっかりかき回して全部飲み干す。
小川ひさこ先生の描かれたセツ先生は、私の記憶の中のセツ先生のシルエットそのものです。
モデルデッサンの時間に、セツ先生の後ろから、先生の画板の紙上にあの憧れの線がダンスをするように躍動的に現れるのをぽーっとみとれていたのを思い出します。
セツ先生は私の入学した夏にご逝去されました。先生の長い人生の最後の方の時間に、同じ場でデッサンを描けた記憶は私の宝物です。
偶然ネットで閉校のお知らせと同時に、こちらの場で先輩、先生方がたくさんのセツ先生の姿を分かち合っておられるのを知りました。
セツ先生が言葉以上にみせてくださった、うつくしさ、かっこよさをこれからも私なりに大事にしていきたいです。
乱文のコメントを失礼致しました。
憧れの線がダンスするように……というのは、うまいですね…コメントを、ありがとうございます。たくさんの方で、「セツ物語」をたのしみたいと思います。まだ、ご存じないお友だちに、おしえてあげていただきたく。
コメントありがとうございます。ほんの一時でも先生と一緒にデッサンできた時間があったこと、大切です。
追分だんご、それはいいタイミングでした、セツ先生は甘いもの大好きなんだけど一人では入り難いらしかった。
コーヒーに砂糖どっさり、のちには蜂蜜を入れてましたよ。
小川さんが初めのころに描いた、ソファの女性、憶えてますか? ぼく覚えてますよ。 あれとってもよかった。
セツの入学案内にも小川さんの絵が 大きく長らく載ってましたね。近ごろ エレガントな絵 を描くひと少ないですね。
先生、コメントありがとうございます。いつまでも生徒を思ってくださる優しさ、本当に嬉しいです。ソファーにすわる女性、なんだかずいぶん昔から描いていたんですね私。今もこのパターンかもしれません。でも先生が覚えてくださっているなんて本当に感激しました。ありがとうございます。
小川さん、ステキなタッチ相変わらず上手いです。原稿送信までどうなるかと思ってましたが。良かったです。これからもパソコン活用して折角の素晴らしいアートご披露してくださいね〜。
セツ先生のあんこ好きは有名でしたね。特につぶつぶのアンコじゃ無くちゃダメとかこだわりもあって。
セツカフェでも皆なコーヒー沢山飲みましたね。パリジャン風にお砂糖をいっぱい入れて、飲んだあとに残った砂糖をスプーンで救って食べるのがパリジャンなんだとかまことしやかな言葉が本当だったのですものね。葡萄も皮ごと種までかりかり食べるのも真似しようと1〜2回は真似しました。笑
瞳ちゃん、最後まで心配してくれてありがとう無事ここまできました。実は昨日…..。「やっぱりね」でしょう?先生の甘いもの好き、さすが瞳ちゃん情報アリです。これからもよろしくね。
こんばんは。
ステキな絵をありがとうございます。私が誕生した時代の先輩なんだなぁ!と不思議な感じです。絵とよく似た白地に青のストライプのシャツのセツ先生を見たことがありまして、同じシャツだったのかしら?と思ってしまいました。
コメントありがとうございます。
そうです。白と青のストライプ、あと白と黒のストライプもありました。今もじゅうぶん通用するスタイルですよね。カッコイイです。
小川さん、先生とぜんざい食べたなんて全然知らなかった、羨ましい。
すてきなたいけんですね。
小川さんの絵、しゃれてて、好きです。
時々見せてくださいね。
「おがわひさこ」さんで検索してこのページにやって来ました。1983年3月に発行された、鎌倉書房の「ステッチハウス 28 シャツ&ブラウス」のイラストの「おがわひさこ」さんは、こちらのおがわひさこさんと同一人物ですか? 何十冊も買った洋裁の本のイラストで最も好きなので、今もこの本を参照して洋服を作ります。イラストが好きになれないと作る気になれませんが、この本はどれも作りたくなります。イラストが好きなので、一冊丸ごと全てのデザインを作って見ようと思っています。おがわひさこさんのイラストをもっと見たいです。