news letter 「住まいと健康」を考える 東賢一

WHOによる工業用ナノ材料から労働者を保護するためのガイドライン

ナノ材料は、100ナノメートル(10のマイナス7乗メートル)未満の径(高さ、幅、長さのいずれか)を有する極めて小さい材料です。おおよそウイルスの大きさと同様です。このようなサイズの材料は、塗料、医薬品、電子材料の分野で使用されています。しかしながら、この小さなサイズが原因で、ヒトの体内に侵入すると、さまざまな健康障害を引き起こす可能性が懸念されています。

しかしながら、ヒトの対する体内への侵入経路や体内動態、生体影響については不明な点が多いのが現状です。いくつかの工業用ナノ材料で生体影響が調査されていますが、工業用ナノ材料が使用始めてからの歴史が浅く、ヒトの慢性影響については観察されていません。そこで、細胞や動物での実験結果から、ヒトに対してあてはまるかどうかを検討しなければなりません。

このような観点から、WHOでは、予防原則の基本理念が工業用ナノ材料に適用されました。そして、特に最も工業用ナノ材料に近いところにいるのが、工業用ナノ材料を取り扱う労働者であることから、WHOは労働者を保護するためのガイドラインを作成いたしました。

ご関心のある方は、ご参考いただければ幸いです。

工業用ナノ材料のリスクから労働者を保護するためのガイドライン
WHO guidelines on protecting workers from potential risks of manufactured nanomaterials
http://www.who.int/occupational_health/publications/manufactured-nanomaterials/en/

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