news letter 「住まいと健康」を考える 東賢一

ドイツの室内空気質ガイドライン-トルエン、キシレン、エチルベンゼンの総和の低減に向けて-

1996年に公表したガイドラインを見直し、以下のようになりました。ただし結果的には、1996年のガイドラインを維持する(同じ値)こととなりました。

ガイドライン1:0.3 mg/m3
ガイドライン2:3.0 mg/m3

また、トルエン、キシレン、エチルベンゼンは、同じような神経毒性を有していることから、それぞれのガイドラインに対する室内濃度の割合を合計した値(リスクの総和)が1未満になるように評価するよう求めています。これは新たな試みで、例えば以下のように評価します。

ガイドライン1は以下の通り
トルエン:0.3 mg/m3
キシレン:0.1 mg/m3
エチルベンゼン:0.2 mg/m3

実際の測定濃度が以下であった場合(個々の物質の濃度はガイドラインを下回っています)
トルエン:0.1 mg/m3
キシレン:0.05 mg/m3
エチルベンゼン:0.1 mg/m3

リスクの総和: 0.1/0.3(トルエン)+0.05/0.1(キシレン)+0.1/0.2(エチルベンゼン) = 1.3

リスクの総和が1.3ですので、1より大きいことから、対策を検討すべきという考えになります。このリスクの総和が1よりも小さくなるようにすべきということになります。

(参考)
ガイドライン2は健康影響ベース、ガイドライン1は予防のためのガイドラインです。ガイドライン2を越えていたならば、特に、長時間在住する感受性の高い居住者の健康に有害となる濃度と判断されるため、即座に濃度低減のための行動を起こすべきと定義されています。

ガイドライン1は、長期間曝露したとしても健康影響を引き起こす十分な科学的根拠がない値と考えられています。しかし、ガイドライン1を越えていると、健康上望ましくない平均的な曝露濃度よりも高くなるため、予防のために、ガイドライン1とガイドライン2の間の濃度である場合には行動する必要があると定義されています。

従って、ガイドライン1が、長期間曝露による健康影響を未然に防止するうえで目指していくべき室内空気質といえます。
 

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