news letter 「住まいと健康」を考える 東賢一

開放燃焼型暖房器具による室内空気汚染

近年日本では、節電対策のため、石油ストーブや石油ファンヒーターなど、暖房効率の良い開放燃焼型暖房器具が多く使用されています。しかし、このような暖房器具からは、燃料の燃焼に伴う有害ガスが発生します。このような燃焼ガスを屋外に直接排出すれば、室内空気を汚染することはありません。しかし一般に、開放型燃焼器具の場合は、室内に燃焼ガスが排出されています。

そこで、NPO法人日本健康住宅協会(KJK)が2012年から2015年にかけて実住宅で行った実験結果の概要を紹介します。

KJKは、戸建て住宅の室内に、石油ストーブや石油ファンヒーターを設置して稼働させ、室内空気中の汚染物質(二酸化炭素、一酸化炭素、二酸化窒素、ホルムアルデヒド、微小粒子状物質等)の濃度を調査しました。

24時間換気システムの運転時および停止時の2つの条件で調査した結果、24時間換気システムの運転時においても、二酸化炭素と二酸化窒素が短時間で環境基準値を超過することが明らかになりました。特に二酸化窒素の濃度は、開放燃焼型暖房器具使用時には世界保健機関(WHO)の室内濃度指針値の7倍から10倍まで上昇しました。そして対策として、窓の隙間を3cm程度開けたところ、二酸化窒素の濃度は指針値以下に低下しました。24時間換気システムだけでは、二酸化窒素の濃度を低下させることはできませんでした。

次に、石油ファンヒーター(開放型暖房器具)使用時における揮発性有機化合物の濃度を調査しました。その結果、総揮発性有機化合物(TVOC)や一部の化学物質の濃度が厚生労働省の目標値やWHOの指針値を超えました。ただし、24時間換気システムの稼働と約3cmの窓開け換気を併用すると、これらの換気により室内温度が大きく下がらない状態で、これらの物質の濃度は指針値以下に低下しました。

研究内容や研究結果の詳細を知りたい方は、3年間に及ぶ以下の報告書が販売されていると思いますので、NPO法人日本健康住宅協会にお問い合わせください。

・開放型石油暖房器具使用時の室内空気環境調査研究試験結果報告書(2013年4月)
・開放型石油暖房器具使用時の室内空気環境調査報告書(第2報)(2014年4月)
・開放型暖房器具使用時の室内空気環境調査(第3報)(2015年4月)

NPO法人日本健康住宅協会
http://www.kjknpo.com/index.htm

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