古いものと新しいもの no7

京都葭屋町(よしやまち)の町屋の2階座敷

京都葭屋町(よしやまち)の町屋の2階座敷。京都建築専門学校の校舎として2000年に改修され、伝統教材として活用されています。もう17年前となりますが、見学会に参加しました。風炉左は控えの間ですが、手摺の奥は1階から上がる階段です。その大きさはたった1畳。住宅の階段は最小でも1坪(2畳)ほどですが、ここではその半分で納まっています。このような柱と建具でできた空間では階段の存在はすっかり消えてしまい、手摺があるのみです。じつはメイン階段は別にあり、この階段は座敷に対するサービス用です。

階段

1階床から2階の床までの階高が低いことと、体を横にしてカニ歩きのよう昇り降りすることでこの階段は成立していますが、サービスの機能としては充分です。当たり前の寸法常識ではこのプランは恐らく成立していません。ミニマム寸法に対する積極的な姿勢があって成り立つもので、自らの常識に縛られてはいけないと教えてもらったように思います。