地松の丸太梁が自慢 エレベーターのある「介護住宅」

地松の丸太梁が自慢
エレベーターのある「介護住宅」
夕景のK邸は、まるで老舗の旅館のようで風情がある。
外壁は赤杉材の板張り。2階に付けられた横桟の柵にも趣がある。
引き戸の玄関に目を向けると、緩やかに続くスロープが気になる。
そうここは「在宅介護」に特化した住まいでもあるのだ。
大阪府交野市 注文住宅 日伸建設 K邸
設計=ニシムラ設計 施工=㈱日伸建設
自然素材に癒される
完全バリアフリーの家
K邸は次男が施主となり、両親と車椅子が必要な長男のために設計された本格木造住宅。1階はリビングとキッチンがついた在宅介護のためのスペース。広めにとった洗面室や浴室にも、多くの木が使われている。2つの洋室とサンルームがある2階は、まるで老舗旅館のような佇まいだ。この家は1階と2階とで異なる機能と雰囲気を持ち、その2つが美しく調和している。
- K邸は注文住宅だが、モデルハウスとしても使われている。見学したいといえばその都度、案内してくれる。
1階にはリビングとキッチン
そして介護に配慮したスペース
玄関を入りホールの扉を開けると、リビングとキッチンが見渡せる。大きな丸太梁、無垢の床、造作建具など細部に至るまで自然素材が使われていることに気づき、すべてが木で満たされていることに感動する。ここ1階は、主に介護するためのスペース。リビングとキッチンのほかには、介護者が介護しやすいようにと考えられた広々とした水まわりが設置されている。
- 階段下の洗面スペース。左が、人工肛門に必要なストーマ装具の洗浄などに使う「オストメイト」だ。
- 浴室は車椅子でそのまま入浴できるように、あえてオープンに。健常者はカーテンで仕切る形だ。
介護する側とされる側
両者が気持ちいい水まわり
洗面室などの床には、水に強く香り高い楠が使われている。水まわりに木を使うとシミがつきやすのではと心配する方も多いが、タイルやクッションフロアなども水に強い素材だからといって、掃除を怠ると下地の床を傷めてしまう。逆に無垢のフローリングにすればマメに拭く習慣ができ、下地を守ることにつながるのではないかと、日伸建設の菅村 淳社長は話す。「今回、いろいろ調べて相談して“オストメイト”もつけました。水圧の関係で設置が難しい。個人住宅でつけるのは初めてじゃないかな」(社長)。
- 1階と2階をつなぐエレベーター。木色の扉が周囲の雰囲気になじむ。
- 中央の美しい柱が山桜。手刻みの階段のステップを、素足で踏んで体感したい。
なんとエレベーターまで木製!?
こだわり抜いた仕様に驚く
車椅子で生活している長男に配慮して、K邸にはエレベーターをつけた。「できればエレベーターも木製にしたかったのですが、それは無理ですね(笑)」と、社長。経年変化で周囲の無垢材の色が変わっても、それに馴染むような色のシート張りにしてあるので、まるで木製のように見える。階段は、手刻みの槍ガンナで仕上げてある。滑り止めになるし素足で歩くととても気持ちがいい。階段横の柱も自慢のひとつ。木目が美しく歪みのない希少な山桜が使われている。
- 地松の丸太梁は全部で6本。1階2階ともに使われている。継手は極力つくらず強度が高い。
社長自らが山に入って選んだ
地松の丸太梁
2階に上がって二間続きの洋室に入ると、太い梁が目に飛び込んでくる。日伸建設が誇る「地松の丸太梁」だ。「僕たちが山師と一緒に山に入って選んで伐採した木なんです。我が社が使う丸太は全部そういうものばかり。それを自然乾燥して使っています」と、社長は胸を張る。施主である次男・Kさんの要望も「自然素材で全部やりたい」ということで、それが完璧に実現された形だ。
- 開口部の多いこの家。暑さ対策に配慮して、風の通り道は設計の段階で考えられている。
掃き出し窓から足を出して
サンルームで日光浴
K邸が老舗旅館のような佇まいを見せる理由のひとつが、2階のサンルームに付けられたベランダの桟。「通常は縦桟にすることが多いのですが、小さなお子さんもいないし、外観が縦ラインばかりなので、古民家の花台をイメージして“横桟”にしました」と、社長。木製ベランダや間取図を考えたのは、施主の父。「車椅子で生活している長男は、室内で過ごすことが多い。だから天気のいい日はこのベランダで日光浴や、風を感じられて気持ちがよいのではないかな」と思ったからだそうだ。美観地区ではないが、周囲の整った家並みが美しい。
所在地 | 大阪府交野市 |
---|---|
家族構成 | 両親+兄弟 |
面積 | 敷地 108㎡ 延床 100.32㎡(1階 50.16㎡ 2階 50.16㎡) |
竣工 | 2022年12月(工期 2022年1月〜2022年12月) |
設計 | ニシムラ設計 |
施工 | ㈱日伸建設 |
構造形式 | 木造軸組工法 |
主な外部仕上げ | 屋根=和瓦葺き 外壁=赤杉30mm張り 目板押さえ 軒天井=杉板厚30mm 化粧垂木 |
主な内部仕上げ | 天井=杉板厚30mm 梁現し仕上げ 壁=木摺り下地のうえ漆喰仕上げ 床=国産タモ厚15mm 蜜蝋ワックス仕上げ |
株式会社 日伸建設
〒576-0031 大阪府交野市森南3-5-4
日伸建設は自然素材でつくる体に優しい家づくりをモットーに、
地域密着の家づくりをしています。
新築はもちろん、リフォーム工事から外回りの塗装工事、植木の剪定、
家具づくりまで、自然素材でつくることならお任せください。
この記事へのコメントはありません。