細長い敷地に広がる、端正かつ豊かな空間

細長い敷地に広がる、
端正かつ豊かな空間
滋賀県を中心とした関西エリアで、
「住まい手とつくり手が心を一つにする家づくり」をモットーに、
自社による設計・施工にこだわった家づくりを行っている谷口工務店。
そんな同社に勤める20 代の夫妻が建てた家を訪ねた。
滋賀県近江八幡市 木の家専門店 谷口工務店 西野・山下邸
設計・施工=㈱木の家専門店 谷口工務店 写真=川辺明伸 文=上野裕子
- 町並みになじむ焼き杉の外観。時が経つほどに味わいを増す。「30年後が楽しみです」(山下さん)。
- 庭のテラスからデッキ、室内を見る。窓を開け建具を引き込むと、庭とリビングがひとつながりの空間に。
伝統的な町並みに映える
前庭の緑と黒い外壁
滋賀県近江八幡市。近江商人の郷として知られる同市の旧市街地には、現在でも古い商家や町家が残る。そんな古い町並みになじむ焼き杉の外壁の建物が、西野 辰さん・山下玲子さん夫妻の住まいだ。
- 2階のフリースペースは、ピアノやギターなど楽器を楽しむための空間。音響をよくするために、天井を高くとっている。将来は子ども室として使うことを想定。
工務部所属の西野さんと設計部所属の山下さんは、ともに新卒で谷口工務店に入社。2013年に結婚し、昨年末にこの家を建てた。若くして家づくりを決意した理由を「1日でも早く『いい家』に住みたい。建てるなら、一緒に働き、信頼のおける大工さんや職人さんに頼みたいと思ったんです」と西野さんは話す。
そう思い立ってからは、休みの度に二人で土地探し。たまたま前を通りかかり「売地」の看板を見つけたのが、間口6.6メートル奥行き28メートルの細長い土地。「面積は58坪とそこそこですが、とにかく細長い。これは面白い家になりそうだ!と直感しました」(西野さん)。四季を感じられる暮らしに憧れる夫妻の理想は「森の中に暮らすような家」。
自邸についても、家を小さくして庭をつくりこもうと意見が一致していたという。山下さんは「プランを描いてみたところ、庭に面積をとっても、生活空間を十分とれると確信できたので、この場所での家づくりを決意しました」と振り返る。
- 細長い敷地を生かした間取りがよくわかる。
- トップライトで階段に光を落とす。
外を取り込むことで
内部空間に広がりを
当初は中庭をとることも考えたというプランは、最終的に細長い敷地を庭と建物がL字型に取り合うようなかたちに落ち着いた。「前庭を合わせると、庭と建物の面積の比率は1:1になりました」(山下さん)。住まいの中心は、この庭を丸ごととりこむように配された床座のリビング・ダイニングだ。2面の大きな開口部にはウッドデッキがぐるりとまわされ、デッキから庭、さらに庭の奥に設けられた広いテラスへと続く。
- 寝室の上に、畳敷きのロフトを設けた。こもる感じが居心地のよさを生んでいる。
「かけられるコストに限りがあるので、メリハリをつけることを心がけました」と山下さんが言うように、間仕切りや建具など省けるものは思い切って省き、廊下も設けていない。一方で、庭に面した和室や坪庭のある檜の浴室など、叶えたかったポイントはしっかりと形にした。「家に帰るのが楽しみで、帰宅が早くなりました(笑)」(西野さん)。
この家に暮らしてもうすぐ1年。山下さんは「家づくりを自ら経験して得たことを、今後の設計に100%生かしたい」、西野さんは「家づくりの喜びを、仕事を通じて多くの人に伝えたい」と話す。そんな夫妻の笑顔が、この家での充実した日々を物語っていた。
所在地 | 滋賀県近江八幡市 |
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家族構成 | 夫婦 |
面積 | 敷地 190.38㎡ 延床 82.84㎡(1階 53.86㎡ 2階 28.98㎡)) |
竣工 | 2014年12月 |
設計・施工 | ㈱木の家専門店 谷口工務店 |
構造形式 | 木造軸組工法 |
主な外部仕上げ | 屋根=ガルバリウム鋼板 外壁=焼き杉張り |
主な内部仕上げ | 天井・壁=月桃紙、一部中霧島壁 床=無垢 アルダー |
株式会社 木の家専門店 谷口工務店
〒520-2531 滋賀県蒲生郡竜王町山之上3409
“誰もが幸せになる、「100年、生きる家」をめざして”
谷口工務店は、かかわる人や地域のすべてが末永く幸せになる家づくりをめざしています。
お客様と心をひとつにして、「ずっと幸せ」という理想を形にしていきたい。
私たちは、本気でそう考えています。
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