第二話 庭をつくろう

西村さん、こんにちは。前回のコラムでは家と木と人の関係性の話を教えていただきました。それで、今回ははじめて家を建てて庭をつくろうと思う人達に向けての初歩的な事を知りたいと思います。
庭づくりの初心者は、最初に何からはじめたらよいですか? 全体的なイメージでしょうか? 木とか石などの素材選びから?

 やはり全体的なイメージから考えるほうが、植えたい木や素材選びもスムーズになりより良い庭になると思います。
 

そうなんですね。全体的なイメージというと、たとえば草原のような、森のような、とか、京都の石庭みたいな、とかでいいのでしょうか。

 最初はそういう漠然としたイメージで大丈夫です。そこから自分がこんな風に生活したいなと感じたイメージの写真や文章を集めていくことで段々、庭の全体像が固まってくると思います。
 

なるほど、最初は漠然としていても、写真や文章で具体的なイメージになりますね。初心者の私としては、和の庭であまり新しくて綺麗過ぎるより年数が経って古びた感じのほうが好きなんですが、その場合どうしたらいいでしょうか。

 植物で古びた感じを出すというのは難しいので古びた素材を使ってみては如何でしょうか。たとえば、和の庭に使える物ですと延べ石という石材があります。この石材は古くから建物土台であったり敷石であったりと使われてきたもので、時の経過を感じられます。少なくなくなりつつありますが、まだ入手することは可能です。
 

木を選ぶときのコツはありますか? 好きだから、だけではだめですか?

 好みだけで選んでしまうと、陽当たりや水はけの状況によっては枯らしてしまう事もありますので手間ではありますが、好きな植物の特性を調べてみて下さい。
 たとえば、一日中陽の当たるような庭であった場合、植えたい植物が半日陰を好む山野草であれば当然枯れてしまいます。
 しかし、その横に日当たりに強い植物を植えて陰を作ってあげれば日陰の植物を植える事が可能になります。
 まずは特性を知ることが木を選ぶコツになると思います。
 

なるほど、まず庭となる土地の環境を知らなければならないですね。日向の植物と日陰の植物の組み合わせができるのですね。勉強になります。土地の広さでいうと、敷地があまりないのですが、4畳半くらいの小さい範囲でも素敵な庭になりますか?

 もちろん大丈夫です。4畳半もあれば5mや6mと大きな植物も植えることができますし、いろんな表現が可能です。たとえ、10cmの隙間しかなくても植物の組み合わせで十分素敵な庭になります。
 

わあ、そうなんですね、10cmの隙間でも庭になるなんて嬉しくなりますね。
それと、わたしのところは日当たりはあまり良くないのですが、どうしたらよいでしょうか。

 日当たりが良くなくても十分育てる事は可能です。日当たりが少ない分、植物の成長は緩やかで繊細な樹形になり、そこに風情を感じられたりもします。日当たりの少ない庭だからこそできる事も沢山あるので楽しんでみて下さい。
 

風情がある庭を眺めているのは本当に心が落ち着きます。日当たりが少ないと、成長が穏やかで繊細になるんですね。そう考えると、人間にも植物と似たようなところがありますね。実際日差しが強い南国と北国では、人の性質も違っている気がします。植物の特性にあった場所選びをしていかなければならないですね。目に見えない心遣いが、人にも植物にも必要なんですね。