人の暮らしと苔

清々しい空のもと人の身近に生きる苔を探して近所を散策。
歩き始めること1分。民家の軒下、コンクリートの剥がれた隙間にはみっしりとホソウリゴケが詰まっていました。この隙間は俺の縄張りだといわんばかりに。
コンクリートごと壁掛けにしたら素敵なインテリアになりそうです。

おや、お隣の民家の室外機の下にもいました。
ここはある程度の日照を確保しつつ、暑さ厳しい夏には室外機からの水分補給も期待できるのでしょう。
自分たちのお好みの場所を見つけるのがとてもお上手です。
金沢の町中は苔だらけなので、こうしていちいち立ち止まっているとウォーキングにはなりません。

観光客で賑わうひがし茶屋街を抜け、浅野川の河川敷で苔の生態の一部を垣間見る面白い風景に出会いました。
写真左は古いコンクリート擁壁、右は比較的新しいコンクリート擁壁です。
古い擁壁は目が荒く水分を保ちやすいためハマキゴケやギンゴケが生えていますが、あまり水分を保たない新しい擁壁には苔は生えていません。
一見苔はどこでも生きていけそうに見えますが、同じ天候状況でもこれほど差の出てしまう好き嫌いの激しい(デリケートな)やつなのです。

上流へ歩いていくと丸い石垣の上に日向ぼっこするようにスナゴケがいました。
日当たりの好きなスナゴケにとってうってつけの場所ですね。
見ようによってはずんだ餅のようで美味しそうですが、このように苔はひとつひとつの個体が寄り添ってコロニーをつくり乾燥から身を守りお饅頭のような形になっていることが多いです。

浅野川にかかる天神橋は金沢市民の裏山というべき卯辰山へと続きます。
その鉄骨アーチ橋の歩道の片隅にもホソウリゴケが。
よく見ると歩道部分は景観に考慮して小粒の石を敷き固めているようです。車道との境界の縁石は普通のコンクリートなので、人に踏み荒らされない鉄骨の下、保水性のよい場所をちゃんと見つけています。

散策で採取した苔たち。
散策で採取した苔たち。