芝居小屋『ゆすはら座』

高知県高岡郡梼原町

芝居小屋『ゆすはら座』

梼原歴史民俗資料館から、少し上がった所に木造2階建(延床面積190坪)の『ゆすはら座』がある。
建物は、昭和23年(1948年)に梼原町の町組によって北町に建設され、その後、平成7年9月(1995年)に東町に移築し修理、復元され現在の姿となっている。

この建物は、大正時代の和洋折衷様式を取り入れたもので、モダンな外観に花道のついた舞台、2階の桟敷席、天井の木目が美しいといわれている。
高知県下では唯一の木造の芝居小屋で、芝居や歌舞伎、映画上映などが行われ、住民にとっては、娯楽の殿堂「梼原公民館」として親しまれてきた。

しかし、時代が下り社会の変化により、維持運営が難しくなって、一時は町組において取壊しの決議が行われたが、各方面からこの建物を惜しむ声が高まり、町民の誇りでもあり、保存運動へと高まった。梼原町にとっては、価値ある貴重な建物であるので、平成6年12月5日町に「保護有形文化財」に指定され、建物を移築して保存することになったという。この時に新しい名称を町民から募集し、『ゆすはら座』と改称された。

四国内でも、香川県琴平町の現存する日本最古の芝居小屋、旧金毘羅大芝居『金丸座』天保6年(1835年)、愛媛県内子町の芝居小屋『内子座』大正5年(1916年)、に並ぶ梼原町の芝居小屋『ゆすはら座』は小さな町の貴重な文化遺産である。