軒の美学

立秋・寒蝉鳴
屋根で建物の外壁から先の部分のことを「軒(のき)」と言います。
「軒は深い方が良い」と言ったりしますが、それは、外壁が雨に濡れて傷むのを保護するためと、夏の強い陽射しをさえぎったり、雨の日には窓を開けて快適に過ごすための工夫であったりします。

現代は、外壁が雨に強いサイディングであったり、暑い日には窓を閉めて空調設備で涼しく過ごす時代。
そうなると軒はなくても良いのでは?と思ったりします。

でも、軒があると
・乾物が作れます。柿や大根、新潟県の村上では鮭も干します。
・野菜(玉葱やにんにく)が保存できます。
・洗濯物が干せます。
・子供や猫も雨宿りができます。
・ツバメも巣が作れます。
生活の場の延長であり、生き物たちにとっても大事な生活の場にもなります。
軒は知らず知らずのうちに、私達の暮らしを豊にしてくれます。
それが暮らしの風景を作り出していました。

高崎にある旧井上房一郎邸にも深い軒がありました。
この軒の下に椅子を置いて、庭を眺めていたのでしょうか。
そんな情景を思い浮かべます。

軒の深い家は美しい!

軒