グァムのレストハウス

学生時代、所員のいない設計事務所からグァムのレストランの設計を頼まれた。高卒後に設計事務所で3年間お世話になってから大学に入ったので、そんな依頼もこなすことが出来た。
猫もしゃくしもグァム グァム グァム。新婚旅行ももちろんグァム島。当時はそんな時代だった。誰もが行ける日本から最も近い外国、それがグァムだったのだ。
グァムのレストランといっても何のことはない、日本人観光客だらけの船着場で船を待つ日本人相手の食堂だ。メニューはラーメンと焼き鳥。お粗末だがせっかくだから設計を楽しんだ。
現地には建築業者もいないらしく、設計図だけでは施工できなかった。そのため日本で部品化して現地で組み立てる、いわゆるプレファブ工法を前提とした設計となった。
グァムに送れる大きさのパーツで、かつパーツの種類をできるだけ少なくするべくスケッチを何度もくり返し、模型で確認したうえで図面化した。
限られた寸法のパーツを少ない数量で最大のスペースを確保するため、六角形を組み合わせた平面となった。
溶接で組み上げたパーツを塗装まで仕上げて現地に送り、工務店が現地へ出向いて組み立てる。そんな建設方法だった。

予算がないとかで現地には行かせてもらえなかった。そのせいで完成した建物は見ていない。写真もない。設計図も残念ながら残っていない。残るはスケッチと模型のみ・・・
ないないづくしの上にいまだにグァムに行ってない。
猫でもしゃくしでもなかった証拠。ということにしておこう。

グァムのレストハウス

グァムのレストハウス