扉は、押す? 引く?

住宅の玄関扉は手前に引いて開けるのが普通だが、ビルや店の入り口は押すのか引くのかはっきりしない。
押し板だけの扉なら引っ張りようもないが、握り棒を見ればつい引いてしまうのが人の習性というもの。
勢いよく引いてガツンと引っ掛かると、肉体的にも精神的にも大きな衝撃となる。
内心「・・・」と思いつつ、改めてそっと押し開けたとき、心おだやかでないのは僕だけだろうか?。

さいきんは押しても引いても開く扉が増えてきた。
そうなると今度は進行方向にひたすらドーンと開けるのが習性になるのだろう。
もしも、それが引かないと開かない扉だったら・・・

デザインは、ひとの抱いたイメージを逆なでするようなことをしてはいけない。
直感的な操作感を求めて、心して設計してゆきたい。

吉見写真工房

photo:吉見写真工房
撮影:岡本茂男