天井を彩るモビール。見ているだけで心が休まります

モビールという製品をご存知でしょうか。

元々は「動く彫刻」という意味を持つ芸術作品の呼び名です。最近では、知育玩具やインテリアとして、雑貨店などでも飾られているので、ご存知の方も多いと思います。天井から吊り下げられた棒の両端に、木や紙でできたモチーフがぶら下がり、風が吹くとクルクルと回ります。その動きは、赤ちゃんや子どもだけでなく、大人にもどこか心地よさを感じさせ、日々の暮らしを和ませてくれます。

知育玩具としてのモビールは、北欧の国から生まれました。北欧のあるメイカーの創業者が、ご自身のこどものために製作したものが、現在雑貨店などで見られるモビールの原型です。今から7年前、ちょうど北欧から輸入されたモビールが雑貨店に並び始めた頃、私たちは日本人の視点から新しいタイプのモビールを作ろうと、製作を開始しました。素材を何にするか、構造をどうするか、何を使って作るかなど、そこにはさまざまな試行錯誤がありました。前述の北欧モデルのモビールをよくご存知の方は、私たちのモビールを見ると、「あれ?これがモビール?」と思うかもしれません。私たちのモビールには、北欧モデルに見られるような「棒」がないからです。棒を省くことで、すべての要素がモチーフとして表現され、絵本から飛び出してきたような物語性が生まれてくるのです。

モビールの歴史は、まだ100年にも満たない短いものです。そして、その歴史のほとんどが欧米から生まれてきました。まだ続いていくその歴史に、私たちのモビールが「日本代表」としてエントリーできたら、こんなにも嬉しいことはありません。

次回から1点ずつ、私たちの作ったモビールを紹介していきます。私たちのモビール、そして欧米から生まれたモビールの歴史を通して、忘れられつつある日本の伝統や文化が浮かび上がってくるようなコラムにできたら幸いです。

プロフィール

ManuMobiles 今井 淳二郎
「紙」と「糸」だけで製作された新しいタイプのモビールを製作する、名古屋のモビールメイカー「マニュモビールズ」代表。日本発のプロダクトを日夜研究し、世界中の家庭へ届ける事を目標に活動中。