『モビールいぬ』(英題:Dogs)2015年9月製作
 
『モビールいぬ』(英題:Dogs)2015年9月製作

僕が子どもの頃から活躍され、200冊以上もの絵本を出されている、絵本作家の高畠純さんと一緒にモビールを製作することになりました。同じ名古屋出身ということもあり、小さな頃から高畠さんの描く絵本やイラストを何度も目にしていたので、内心ドキドキしながら打ち合わせにのぞみました。

最初の打ち合わせの日にデザイン案を出してきていただいたのですが、その数がなんと全部で4案。しかも、すべて手づくりでモビールに仕立て上げられているではありませんか。ゴリラにイヌに、パンダにペンギン…そこには小さな頃から見ていたユーモラスな動物のイラストがモビールになって、クルクルと回っています。4案ともすぐにでもリリースしたいぐらいだったのですが、やはりそこはプロダクトと作品の違いで、製造工程の制限のため、あえなく断念しなくてはならないモデルもありました。その中から、サイズ感やコスト、量産化の可否など、様々なことを考慮して選んだのが、こちらの「イヌ」のモデル。
 

 打ち合わせ風景。高畠純さん(右)と著者(左)。テーブルには別案もずらり
 
打ち合わせ風景。高畠純さん(右)と著者(左)。テーブルには別案もずらり

 
高畠さん曰く「他のモビールがカラフルなものが多かったから、あえて色数を少なくした」ということ。ほとんど白と黒のモノトーンで構成されているのですが、直径1センチほどの小さな目の部分のみ色が入っていて、それがとても効果的なのです。あまりにも小さい部分なので、色があってもなくても同じように思えるかもしれませんが、ここにはっきりとした色があることで、より白と黒のモノトーンが活き活きと際立ってくるのです。それと、イヌの胴体にある黒い斑点模様、「ここの配置は適当でいいから」と仰います。イラストからプロダクトへ落とし込む場合、その過程でどうしても損なわれる部分が出てきてしまうので、最初からある程度変化しても成立するデザインにしてあるというわけなのです。僕が描く場合、一つひとつの配置に神経質になってしまいがちだったので、高畠さんとのやりとりは、とても勉強になりました。

モビールいぬ

高畠さんの絵本を読んで成長してきた子どもとしては、このモビールがまた次の世代の子どもたちのお部屋に飾られることが嬉しくてなりません。よく見ると、このモビール、上から下へ世代がつながっていってるようにも見えます。高畠さんはなにも仰っていませんでしたが、もしかすると、そういう思いが込められているのかもしれませんね。