「エリカ」の記憶

エリカ

『東京人』6月号は「特集・純喫茶宣言 !」である。
そのうちの一本に「街の日常を味わう。」という企画がある。「喫茶人対談」ということで、泉麻人さんと石井正則さんのお二人。

石井 …… ようやく、こうして泉さんと喫茶店のお話ができて光栄です。しかも神保町の名店「エリカ」で。
泉 「エリカ」は、かつて僕も本に書かせていただいた大好きな喫茶店です。先週(三月二十九日)閉店されて、本当に残念です。
石井 僕は「エリカ」には、モーニングで数回お邪魔しました。仕事でお茶の水に用事がある時に早めに到着して、神保町の喫茶店で台本を読みながらモーニングを食べるんです。

対談を読んでいるうちに、いろいろなことを思い出した。朝、8時頃から開いている店だった。近くの商店、会社の人など、男性客がほとんどだった。競馬の好きな店主で、月曜日は、楽しそうに前の日の結果を語っていた。あれこそ、街の喫茶店だったな、と思う。家に、マッチがあるかもしれない。探してみよう。喫茶店は、タバコの煙とともに、消えたような気がする。

エリカ

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