チルチンびと 別冊66号「民家の再生と創造③」
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仁裕さんに依頼した。アトリエR YOで長く働いていた近さんは、 師匠木下龍一氏直伝「残す、生か す」の精神で、構想から5年の歳 月をかけ、ていねいな改修を行っ た。しかし完成の前年、均さんは 病で旅立った。その遺志を受け継 ぎ、尚子さんがオーナーとなった。  外観はギャラリーを印象づける 大きな要素だ。2軒をひとつなぎ に見せる工夫と出窓の演出で、一 見して住宅とは見えないよう設計 した。「板を張るのではなく立体 的に見せるために細く切った材を 並べて一人の大工さんがひたすら 釘で打っていく。機械で打てば早 いし、位置も正確に決まりますが、 多少歪んでも人肌感を大切にしま した」。窓枠の壁の下には窯の中 で使っていた耐火性の高い棚板を 切って敷き詰めた。「アトリエに あるものを利用すれば他にはない 形になると思いました」。  アプローチから玄関、1階へと

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