チルチンびと 別冊66号「民家の再生と創造③」
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幼い頃に暮らした 古民家の改修を決意A邸が建つのは、かつて小さな 城があった場所だ。重厚な門をく ぐり石積みの階段をのぼると、ク スノキやモミジの古木が枝を広げ る庭に迎えられる。「曽祖父が、 庭の大樹を気に入ってこの土地を 求め、家を建てたと聞いていま す」と話すのは、再生したこの家 に暮らすAさんだ。 30 代のAさん が古民家再生を決意したのも、こ の庭が好きだったからだという。 「1〜2歳の頃、この家に両親と ともに住んでいました。その時の印象が強く、いつか改修できたら と考えていました。仕事の都合で この地を離れていたのですが、数 年前に戻ってくることになり、改 修に取り組むことにしたのです」。  改修設計は、自らも祖父の家を 再生して暮らす建築家の岡本一真 さんに依頼することにした。施工 は、大工・左官技術に定評のある 勇建工業が担うこととなった。勇 建工業の加村義信社長は、160 年前の古民家を新潟から移築改修 し自宅兼モデルハウスとするなど、 民家再生に造詣が深く実績も豊富 だ。「モデルハウスは、伝統的な 建物を現代の生活に合うように改

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