雑誌「チルチンびと」95号掲載 栃木県 無垢杢工房㈱イケダ
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115 朝早い山林に、男たちが柏かしわ手でを打つ音が響き渡る。無垢杢工房 ㈱イケダでは、自社の山林で木を伐採する際に、山の神様にお供えし拝礼する。この日山に入ったのは、同社社長の池田光一さん、専務の池田晃徳さん父子と、数名の社員。池田社長は「この辺の杉は私が5歳の時に植林したもので、今57年生。馬車でここに来て杉の苗を植えたこと、夏休みに下草刈りにきたことを覚えています」と話す。 無垢杢工房 ㈱イケダの創業は昭和23年。現社長の父が木材業を立ち上げ、その後建築業に進出した。現在では自社の山林の木に加えて原木市場で入手した丸太を自社で製材し、家づくりまでを一貫して行う。晃徳さんは「50年前に植えた木を、今伐採する。林業はサイクルの長い、大変な仕事です」と話す。 三代目となる晃徳さんは、宇都宮の工業高校と工科専門学校で建築を学んだ後に、県内の工務店で修業し、25歳のときに無垢杢工房 ㈱イケダに入社した。30歳で一級建築士の資格を取得し、主に住宅設計を担当しているが、チェーンソーで木を伐採祖父から孫へ。受け継いだ山から材を伐り出す41 伐り倒された樹齢50年を超える杉。「この山には、3〜4間ほどの丸太桁など、特殊な材を伐採することが多いです」(池田社長)。 2 伐採の前に山の神に手を合わせる。 3 キツネを2匹従えた山の神に、鰹節、塩、酒、水を供える。 4 チェーンソーで木を伐採する晃徳さん。 5 伐採された木は、木目の間隔も密な良材だった。 6 年輪を数える無垢杢工房 ㈱イケダの社員たち。 7・8 重機を運転する晃徳さん。将来を見越して、学生時代に免許を取得したという。678253

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