雑誌「チルチンびと」88号掲載 栃木県 無垢杢工房㈱イケダ
3/4

208る。自然素材にこだわったのも、安心して暮らすためだ。ちなみに、この家にはソファがない。以前は、リビングにソファという生活が当たり前だと思っていた髙橋さん夫妻。家づくりを進めるなかで「家にいない時間も多いので、それならゆったりとくつろげる空間を」と、ダイニングテーブルを中心とした生活を考えるようになったそう。広々としたダイニング南側の大きな窓を開け放つとデッキへとつながり、さながら外のリビングだ。天気のいい日にはデッキにシートを敷いて、子どもたちとピクニック気分を楽しむこともあるとか。 髙山さんは「リビングがない分、家のいろいろなところに居場所をつくりたかった」と話す。ダイニングの隅には大人も子どもも使えるワークスペースを。キッチン脇には小さなデスクを設け、家事の合間に子どもの勉強を見たり、ちょっとした仕事ができるようにした。なかでもロフトは子どもたちのお気に入りで、ほとんどここで遊んでいるそう。奥さんも「1階が全部見わたせるので、楽しいみたい。私は家事をしながら、上で遊んでいる子どもたちと会話もできる。適度な距離でコミュニケーションもとりやすいんです」と、嬉しそうに話す。 髙山さんは、「建主さんには、間取りなどの具体的なことよりも、そこでどんな暮らしをしたいかをうかがうようにしています。髙橋さんの場合は、家や暮らしに対する考え方が明確でした」と語る。暮らしぶりを想像しながら、どうすれば気持ちのよい空間になるかを考え、設計プランに落とし込むという。池田光一社長も、髙山さんの勉強家ぶりには太鼓判を押す。 確かな木選びの目をもつ池田社長と髙山さんの若々しい感性、そしてそれを支えるていねいな職人技。すべてが合わさって「イケダの家」が完成するのだ。 「イケダさんのつくる家と空間がとても好き」という奥さん。おだやかな時間と空気が流れる髙橋さんの家からは、空間そのものを大切にし、ていねいに住みこなしている様子が伝わってきた。右/薪ストーブの炉台には大谷石を。窓を開けた向こうには日光の山々が見える。 左上/ダイニングセット以外の家具と建具は、すべてイケダによるもの。 左下/窓を開け放った心地よい空間での食事に会話も弾む。ちょっとしたものを飾りたいという奥さんの要望でつけられたキッチンの棚。

元のページ  ../index.html#3

このブックを見る