チルチンびと 別冊63号「コンパクトな敷地を広々と県産材で叶えた愛らしい平屋」
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栃木県佐野市の住宅街、リズミ カルな二重の切妻屋根に白い壁、 テラコッタカラーのアクセントタ イルにステンドグラスの照明が光 を落とす、洒落たU邸外観が目に 留まる。ひときわ目を引く二重の 切妻屋根は、佐野市周辺独特の強 風から住まいを守るための、㈲響 屋・渡辺響子社長による設計の工 夫だ。  玄関を入ると、木のよい香りが 鼻腔をくすぐる。「強風から家は 守りたいけれど、風通しは遮りた くない」という渡辺社長の狙い通 り、室内に多く取られた開口に誘 われ、ふわりと抜ける風が心地よ い。  右手には水まわりをひとまとめ に。左手の家事室から奥のキッチ ンまで、家事動線をコンパクトに 設計。キッチンには料理好きなお 姉さんのため、広々としたステン レスの調理台をしつらえ、収納も 兼ねたカウンターを挟んでリビン グ・ダイニングへ、ぐるりと回遊 できる間取りに仕上げた。 広く見せる工夫 「この家の二つ目の課題は、敷地 面積と敷地の形状」と渡辺社長が いうように、奥に長い縦長の土地 で、敷地面積も広くはない。そこ で、広く見える工夫をいくつもち りばめた。 「まず、地元の建材の鹿沼土をブ レンドした響屋オリジナルの漆喰 壁に統一。合わせて内装の色合い も抑えました」(渡辺社長)。鹿沼 土をブレンドすることで調湿性能 のアップも期待できるという漆喰 壁は、クリームがかったまろやか な白。外観から内観まで、この白 と無垢の木色を基調に、統一感を 持ってしつらえられている。「回 遊できる間取りも広さのため。さ らにメリハリが出るよう、U姉妹 の希望もあり畳間は小上がりに」 (渡辺社長)。 念願の、 響屋との家づくり 「 20 年以上前から、家を建て直し たかった」と姉妹は口を揃える。 元の住まいは築 50 年を超え、雨漏 りやシロアリ、隙間風など「古い 家にありがちなありとあらゆる問 題に悩まされていた」という。だ が日々の忙しさから、家づくりは 先延ばしになってしまった。それ でも姉妹の家づくりへの夢は潰え ず、「『チルチンびと』をずっと読 み続けていたので、響屋さんも、 もちろん知っていました。地域の 建材を使った家づくりもいいな」

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