雑誌「チルチンびと」89号掲載 栃木県 ㈲響屋
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148薪ストーブはバーモントキャスティングス社のデファイアント。ひと目惚れして購入した。縁側風の式台に座ってパチパチと薪のはぜる音に耳をすませ、ゆらめく炎を見つめていると、いつしか時の経つのを忘れてしまう。息子さんたちとともに、家族が一つになる時間。た茶道は、今や奥さんの生きがい。千利休の流れを汲む宗偏流の先生は、とても魅力的な方だとか。「ここに先生をお呼びして、お茶会を開きたいですね。掛け軸やお花など、季節のしつらえ一つにしても奥が深くて、まだまだ勉強することがたくさん」と、夢は膨らむ。 2階に上がると、地名にちなんで「さくらの湯」と名づけた風呂がある。ここは雄大な山の風景を眺めながら我が家で温泉を楽しめる、ご主人いちばんのお気に入りだ。何より尊い         〝何もしない時間〞 週末住宅をつくろう、という夢は、当初7〜8年かけて実現するはずだった。ところがある日、本屋で奥さんの目に何げなく留まったのが、『チルチンびと』に載っていた工務店・響屋の、栃木の自然素材でできた家。「これだ!」と思った奥さんは、すぐに事務所を訪ねた。同社の社長で設計者でもある渡辺響子さんと話をしたり、施工例を見ていくうちに「この人にならすべて任せてもいい」と確信するようになったという。ほどなく、見晴らしのよさと温泉が湧右/印象的な土間リビングの格子戸。昼間は日光が、夜は照明が室内に陰影を描く。 左/薪ストーブが燃える暖かな土間リビングからは、美しい格子戸越しに外の景色が見える。引戸を完全に開け放てばオープンテラスになる。

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