雑誌「チルチンびと」 74号掲載 人を生かし風土を生かす家づくり 栃木編 「新しい 地縁の創造 価値観がつなぐ ユカリノミチシルベ」
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新しい 地縁の創造 価値観がつなぐ ユカリノミチシルベ 写真=川辺明伸 無垢杢工房㈱イケダ 人を生かし、 風土を生かす 家づくり 栃木編 50  8月、炎天下。騒がしく蝉の声 が響く山道の入り口が、たくさん の人で賑わう。瓦葺き、平屋の古 民家の庭には、テントやベンチが 並び、若いカップルから子連れ、 リタイア世代の夫婦まで多様な世 代の人びとが集う。テントではか き氷やフレッシュジュース、ビー ルなども売られ、さながら地域の 夏祭りといった風情だ。 「ユカリノミチシルベ」と命名さ れたこのイベント、実は栃木県の 工務店「無 むく 垢杢 もく 工房㈱イケダ(以下 イケダ)」が催したオープンハウス なのだ。お披露目されたのは栃木 県益子町にある築 41 年の陶芸家の 家を改修してできたN邸。既存の 構造材を生かしながらも壁を取り 払うなど開放的につくり替えられ、 もともとあった登り窯を解体して 出た耐火レンガを薪ストーブの囲 いや玄関に再利用している。  一風変わっているのは、その室 内に地産野菜やオーガニック菓子 を販売するブースが並び、棚やテ ーブルにもインテリア小物、地元 作家の陶芸作品などがところ狭し とディスプレイされていることだ。 来場者は目を輝かせ、家の隅々ま で見て回っている。「来場者から は『一体、何のイベントなの?』っ て聞かれます」と笑うのは、イベ ントのプロデューサーである、イ 焼き物の町・栃木県益子町で、 暮らしの豊かさを求める人びと が集まるイベントが開催された。 その音頭を取ったのは、 なんと、地域の工務店だった。 宇都宮市・ 芳賀・ 益子・ 186  

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