雑誌「チルチンびと」93号掲載 茨城県 菊田建築㈱
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164レビ台の下など室内の随所にも開口部を設けることで、陽光や薪ストーブで暖まった空気を家中に循環させる工夫をした。菊田社長は「室温が家のどこでもほぼ同じになり、北側は暗い、廊下は寒いといったこともなくなります」と説明する。さらに、暖気が逃げないよう窓はトリプルガラスを使用。結露を防ぐために、断熱材に木質繊維が素材で透湿・防音などの効果をもつセルロースファイバーを、壁材にホタテ貝殻が主成分でやはり防火・防音、調湿効果の高いチャフウォールを採用した。こうした工夫の相乗効果で、外気がマイナス5℃の朝でも室温が12〜15℃に保たれ、雨季のじめじめ感もないという。一方で、夏は窓を開け放てば室内開口部を通して風が家中を巡る。また、玄関脇の東窓と和室の西窓には外にスリットタイプのシャッターを取り付けてあり、「窓を開けたままシャッターを下ろせば、防犯しながら涼しく寝られます」と菊田社長。性能とデザインの両立 同社はまず家の性能を確かなものにした上で、現在はデザイン面でも高いレベルをめざしている。このモデルハウスでは全体の統一感を保ちつつ、デザイン上のさまざまなアイデアを盛り込んだ。上/隣家や道路からの目線を考慮し、敷地を19度ほど西に振って建築。リビングの南側には庭があるが前方の緑地も借景に生かした。 右/テレビ台の下の開口部。夏は涼しい東風が通る。 下/和室の西側にも大きな窓。

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