雑誌「チルチンびと」92号掲載 茨城県 ㈲福田建設
2/4

211腕利き大工と建築家がつくる端正な住まい 点在する笠間焼の窯元を抜けて、辿りついた先に見えたのは堂々とした佇まいの1軒の家。深い軒に誘われるようにアプローチを進むと、山の草花が迎えてくれる。手仕事の跡が残る鉄のドアノブを開けて中に入ると、木の香りが漂ってくる。 その先に続くのは広々したリビング。開口部をすべて開け放つと遠くの清々しい山並みが見える。障子を閉めれば一転、静かな時間が流れる。リビングの奥には小上がりの和室が続き、低めの天井と表情豊かな土壁とが相まって、心地よいこもり感に包まれる。 この家を手がけたのは、茨城の地域工務店・福田建設。2017年2月に竣工、現在展示中である。近隣の地名をとって「星山の家」と名づけた。「木に触れる仕事が好き」と笑うのは、福田定利社長。生まれも育ちも笠間市で、上京し文化庁の仕事に携わる大工のもとで修業、その後地元に戻って独立して今年で40年になる。スタッフだけでなくお客さん、小さなお子さんからも親しみを込めて“親方”と呼ばれる。 日本の伝統的な技術を頑固に守りつつ、設計は暮らしやすさに主眼を置く地元の建築1リビング・ダイニングから階段越しに和室を見る。床が1段上がることで特別な場所と思える部屋に。印象的な手すりは「アインズ」の松岡信夫さん作。 2和室に設けられた奥行きのある開口部。光と影のグラデーションが土壁に現れる。壁は聚楽土に藁スサを混ぜたもの。 3床の間。床柱はイチイ。23福田建設 茨城県 星山の家

元のページ  ../index.html#2

このブックを見る