雑誌「チルチンびと」108号掲載 茨城県那珂市 注文住宅 ㈲福田建設
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定利親方が伝えたいこと 昔と比べて家のつくりが変わってしまったと感じている定利会長。「手刻みの家が減り、若い方や予算を優先する方はほとんどプレカットになってしまった。我妻さんのような家を頼んでくれる人が増えたら、複雑で難しいけど、やりがいがあって楽しいんだけどな」。 実は65歳で引退するつもりだった定利会長。引退から1カ月後にガンが見つかった。引退後、後継者で息子の福田成利社長(40歳)に少しずつ会社のことを教えていこうと思っていた矢先の出来事だった。定利会長は4カ月間の入院中も図面を病室に持ち込んで、木拾いや設計者との打ち合わせを重ねていたという。成利社長は、「やっぱり心配で、父にもし何かあったときには右も左もわからないので不安でした」と当時を振り返る。 今では成利社長に数件の現場を一人で任せ、娘婿である棟梁の福田智史さん(39歳)にも技術を伝え教えている定利会長。「難しい仕事はなるべく智史に預けている。自分の技術をすべて伝えたい」と微笑み、期待の眼差しを向ける。福田建設では、今年を「挑戦の年」と位置づけ、リフォームや子育て世代の家づくりにも取り組んでいきたいと話す。定利会長は「新しい展示場をつくって若い方の仕事を取りたい。そうじゃないと安心して辞められないからね」と笑顔を見せた。

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