雑誌「チルチンびと」98号掲載 福島県 ㈱増子建築工業
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1・3将来2部屋に分けることのできる2階の子ども室。敷地が高台になっているため、窓からの眺めがよい。天井には力強い梁組。 2夫妻の寝室にはバルコニーが。 4子ども室と寝室の間は多目的なスペースになっており、備え付けのカウンターも。 5外観はやさしいクリーム色。家の前で増子建築工業の増子則満専務と。 6庭は遼くんが駆け回れる広さ。 7・8石塀や軒先のダリアがH邸の佇まいを彩る。情を一つひとつ確かめながら、家のどこにどの材を使うかを吟味するのだという。 H邸は1階にLDKとひとつながりになった和室や水まわりがあり、2階に寝室と子ども室というきわめてシンプルなつくり。吹き抜けを介して1階と2階がゆるやかにつながり、余計な間仕切りもない。簡素さが表立っている分、大工の本当の腕が現れる。 かつて法隆寺の解体修理などに携わった宮大工棟梁の西岡常一は、木の癖は「木の心」だと言った。それをよむのが大工の仕事だとも。木の本質を深く理解し、自然のまま、素直に使っているということが、H邸の佇まいからはひしひしと伝わってくる。そうして生まれる建物本来の力強さやあたたかさを、夫妻も感じ取っているようだ。「どっしりとした安心感だけでなく、あたたかみがある」とご主人。奥さんがにこやかに続ける。「スペースに無駄がなく、有効に使えるのも嬉しいですね」。 取材当日、少々肌寒くもあったが、ご主人は終始素足だった。もともと冷え性だというから驚かされる。「さらっとやわらかい足触りが気持ちよくて。できるだけ素足でいたいんです」。2341

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