雑誌「チルチンびと」98号掲載 福島県 ㈱増子建築工業
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右2点/敷地内にある木をご主人自ら伐って薪にしている。 左/薪ストーブはヨツールのF500。シンプルな操作と、大きなガラス面で炎がしっかりと見えるのがお気に入り。 142憧れ続けた炎を眺める暮らし。安心できる素材で“大工さんが建てた家”は、生火の暖かさと手仕事の味わいに包まれている。素足で感じる無垢の床と薪ストーブのぬくもり 草木がほんのり赤く染まりはじめた秋口のある日。冷え込みが厳しくなるこの時期、Hさんの家では、朝から薪ストーブに火を入れる。ご主人が慣れた手つきで積み上げた薪に火をつけると、またたく間にゆらゆら炎が上がった。時おり閃光を放つオレンジ色の火に、身も心もゆるりとほぐされていくようだ。 鮮やかな火付けシーンを披露してくれたご主人、実は薪ストーブ初心者。それなのに、まるで玄人のようにスマートな手さばきだったのには理由がある。一つは、家を建てるよりも前から薪ストーブショップを何度も訪れていたこと。もう一つは、扱いやすく美しい炎が見られる機種をよくよく選んだことだ。 薪ストーブを求める理由はさまざまだろうが、Hさん夫妻の場合は「生の火を見ながら暮らしたい」、ただその一点だった。「あたたかさの質が違うんですよね」。物柔らかなご主人の声に熱がこもる。未来の自宅に薪ストーブを備え付けることは、いつしか決定事項になっていた。 アパート暮らしをしていた夫妻が家づくりを考え始めたのは、長男の遼くんが生まれてから。子ど福島県白河市 H邸  設計・施工=㈱増子建築工業 写真=畑 耕 文=内田珠己福島県

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