雑誌「チルチンびと」65号掲載 福島県 ㈱増子建築工業
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寒さの厳しい福島の気候に対処。その上で、置き垂木を軒先に向けて細くして、屋根の外観をすっきり見せている。  また、このモデルハウスは、長期優良住宅先導的モデル事業「チルチンびと・地のモデルハウスには、増子社長の想いがこめられている。 「設計のコンセプトは、そんな『職人の手わざ』を見せることでした」と、泉さんの事務所出身で、設計をともに手掛けた伊藤誠康さん。県産材が織り成す力強い木組みを見せるため、天井は張らず、野地板の裏に置き垂木を設けて断熱材を入れ、暑さ寒さの厳しい福島の気候に対処。その上で、置き垂木を軒先に向けて細くして、屋根の外観をすっきり見せている。  また、このモデルハウスは、長期優良住宅先導的モデル事業「チルチンびと・地域主義住宅」(※)として建てられた。国が定めた耐震性能や省エネルギー性能の基準を満たした長期優良住宅の性能を備え、さらに、自然素材を基本とした安全性の高い素材のみでできている。特筆すべきは、耐震性能を高めるために、無垢の木を斜め張りにした床組(49頁参照)を用いたこと。さらに、野暮ったくなりがちな耐震補強用の金物を、大壁に隠すなどの工夫もなされていることだ。  増子社長は、「安心な暮らしを求める方に、自然素材でこんな家が建てられるんだということを見てもらいたい」と話す。「地域の材と職人を生かし、家を建てる。それが、僕が地域工務店と仕事をするときに大事にしていること。モノづくりの根性を持った、増子さんとの家づくりは本当に楽しかった」と泉さん。  デザインと職人技が融合したモデルハウス「杢」に足を運んで欲しい。

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