雑誌「チルチンびと」92号掲載 福島県 ㈱増子建築工業
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110した。 泉さんは過去に増子建築工業のモデルハウスやギャラリーの設計をしており、則満さんは完成した建物を見て「デザインが素晴らしい。家を建てるなら、泉さんに頼もうと思っていたんです」と話す。2016年初秋に図面が完成すると、自社で製材に取りかかった。 通常、同社では住宅1軒分の製材は2週間程度で完了する。ところが「泉さんの設計は現しになる部分が多く、独特の加工も必要だったので、2倍以上の時間がかかりました」(則満さん)。丸太を製材するときに使う帯鋸の跡を残し、表面に金ブラシをかけて毛羽立ちを抑えた収納扉や、桟が細い太鼓貼りの障子などを、大工や建具職人が手作業で仕上げたという。上品でコンパクトな空間 完成した住宅は、とてもコンパクト。同時に、泉さんらしい上品さに満ちている。玄関につながるリビング・ダイニングは、東南方向に広く開口部が取られ、背が高く幅広の障子戸を通じてやさしく陽光が入る。床は総檜1和室から見たリビング・ダイニング。 22階のロフト。太い棟木が間近に見える。 32階のホール。 4キッチン。建具の扉には目の美しい杉が用いられている。 5帯鋸の跡を残した建具の表面。 6白を基調とした内装に映える黒い手すり。 7ハーフユニットの浴室。壁は総檜。 8増子さん一家。左から則満さん、則斐(のりあき)君、則透(のりゆき)君、京子さん。棟梁の  こだわり、増子建築工業12

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