雑誌「チルチンびと」69号掲載 福島県 ㈱増子建築工業
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182床は、日本手拭の袋に入れた米ぬかでみがく。増子社長曰く「自然の木は、自然の油を与えるとなじみがよくて、いい光沢が出てくるんだな」。 2階和室の天井は簾張り。和室の襖は伊藤さんのこだわりで、上桟・下桟は現しで、立框は襖紙で巻き込み見せない。  畳は、本床・無農薬栽培のイ草。縁なしの畳を「この辺じゃ、野郎畳って言うんだ。折るのが難しいから畳職人が、この野郎って言いながら折るんだって」と、増子社長。和室の床柱は、カヤ。増子社長「材木屋に転がってたのを製材させたんだ」。Gさん「近くにカヤの大木があるんで、ゆかりを感じたなあ」。エネルギーと住宅を構成する素材の蓄熱力、空間の組み合わせが研究され、国の省エネルギー基準に反映されてほしいものだ。増子さんと家をつくって  面白かったですね 「木の香りが好きで、鉋屑の匂いが好きで、梁も火打ちも現しで頼みました」と言うGさんは、現場へ毎日のように行き「知っている大工技術を実地で見られて、仕口や継手など、よーく考えているなあと感心してました」。大工さんに、「昔は柱のホゾは土台に貫通させていたけど……」「今は、腐るからやんねえ」「ふーん、なるほど」など、本の知識を試しに聞いてみて楽しんでいたという。 増子社長も「Gさんが言っていることと自分が考えていることとのイメージが合ってくると、最終的にまとまってくるんだなあ」「いやあ、和室は格天井にしたらなど言っちゃって……だいぶサービスしちゃった」と笑う。Gさんも「予算の10%は、楽しませてもらいました」。住み手も、つくり手も、楽しい思い出で一杯のようだ。

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